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科学者の生態解説 ~科学者はなぜやたら初手にとるねーどを打つのか~

みなさんこんにちは、全日本枢式RTA協会副会長のまつかんです。世間はもうクリスマス一色ですね。今回はふるよにアドベントカレンダー2019に参加させていただくことになりまして、私に書ける記事っていうと何か、と考えました結果、クルルについて書かせていただくことにしました。アドベントカレンダーについてはハブページから他の方の記事に飛べますのでそちらもぜひどうぞ。

3422project.hateblo.jp

昨年は読む立場だったのに今や書かせていただく立場になったのは少々感慨深いですね。

しかしまあこの企画、私よりも前にウパどれやら枢式RTA研究発表やらインパクト満点の記事ばかりで私の記事で皆さんにお楽しみいただけるかは不安ではありますが、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

 

・当記事における用語の定義

本題に入る前に当記事ではターン表記をTと表記し、機巧をマナ、各カードタイプをその色で呼称し(例:攻撃機巧→赤マナ、全力機巧→黄マナ、など)、2T目に再構成してからの山札の巡目を1.5巡目と定義します。また、機巧の組み立てに失敗することを機巧が壊れる、と呼称するものとします。

 

・なぜクルル使いは初手や2T目にとるねーどを打つのか

さて、ミコト諸兄におかれましてはクルルを宿すミコトと対面した際に初手からとるねーどを打たれたり2T目に再構成からトップを見ることなくとるねーどを打たれたりした経験をされた方も多いと思います。何も起こらない全力行動札で序盤の大事な1ターンを消費するこの行動に疑問を持つ方もいるかと思います。この記事ではこの行動について解説していきたいと思います。

この行動には大きく分けて以下の理由が内包されています。

①比較的安全な序盤のうちに黄マナを出す

②青マナを出す

③間合制限がなく、リソ損がない

順番に見ていきましょう。

①1巡目、ないし1.5巡目にびっぐごーれむを開き、動かすデッキにおいて、黄マナは1枚はあくせらーから置くことができますがクルルAのあならいずで表向きにしたりといった一部例外を除いては全力札を通常通り使用して黄マナを出さなくてはなりません。全力札は強力な効果を持つものばかりですが、それはそれとして晒す隙も大きいものです。序盤の比較的安全な間合のうちに黄マナを出しておくというのが理由として最も大きいです。

②1巡目からびっぐごーれむを動かすためのあくせらー、また、第四拡張のいんだすとりあの更新によって開拓された、1巡目からえれきてるを使用しながらいんだすとりあに封印する動きには2~3枚の青マナが要求されます。クルルは11枚のカードプールのうち9枚が行動札であり、青マナを出すのに苦労はあまりしないように思われがちですが実はそうではなく、あくせらーやえれきてるの青マナは意識して揃えないと上手く揃わず機巧が壊れることが多々あります。とるねーどはその青マナを出してくれるという訳です。

③これは①にも関わってくる要素なのですが、全力札を使うに当たって、特に攻撃札を使用する際は間合がターン開始時に合っていないといけません。そうなると初手に置く黄マナは青、もしくは緑札であることが望ましいですね。しかし基本的に付与札は使用に納を要求されますが、初手にダストは当然存在せず、納をオーラから払うことになり、1巡目、ないし1.5巡目の大切なリソースを奪われることになってしまいます。これらの理由より、初手に置く黄マナはリソ損を起こさない青黄札が最適だと言えますね。

以上3点が科学者が初手にとるねーどをポン置きする主な理由なわけですが、これらに合致するなら別にとるねーどじゃなくてもいいはずです。実際その通りです。ならどうして科学者たちは初手にとるねーどを打つのか。多くの場合そのデッキにとるねーど以外に上記の条件を満たす札がない、もしくはあっても後で打つ方が強いからなのですが、それについては次の項で話していきたいと思います。

 

・初手、再構成後2T目に打って強い全力札

ではここで視点を変えて初手、もしくは2T目に打って強いかという点のみに着目して各通常全力札を見てみましょう。各札の初手適正、2T適正を筆者の独断と偏見でS~C、およびFでランク分けし、その理由を軽く解説しましょう。およそランクの見方としてはSはかなり強い、Aは使用による効用を十分に発揮する、Bはとるねーど同様損もしないが大きく得をするかと言われると怪しい範囲、ないし機巧が壊れる可能性を孕む、Cはとるねーど未満、Fは評価対象外、くらいで見てください。

ではユリナから順番に見ていきましょう。

居合 ともに[F]…間合4は遠いため。

気炎万丈 ともに[C]…リソが吹き飛び、構築にいれる理由がほとんどなく、あってもびくご起動に合わせて場に残す方が強い。

無音壁 ともに[C]…およそ同上。気炎と違うのはデッキに入れて最初から仕事をする点。

フルバースト 初手[F]、 2T[S]…初手は打てないが2Tの再構成直後に打つとライフが取れ、さらにダストを作る(≒もじゅるーを置きやすくなる)。あくせらーの機巧が壊れないかだけ注意。機器のあならいずと相性が良い。

要返し 初手[B]、2T[S]…初手に打っても何も起こらないが、2T要が強いことはもはや常識。

斬撃乱舞 ともに[F]…間合が遠いため。

不意打ち ともに[F]…打てたら確かに不意打ち。

分身の術 ともに[B]…打っても何も起こらないのはとるねーどと同じだが、ならとるねーどを置けば良く、もじゅるー展開中にあくせらーから使用する方がよほど効用が大きい。

ふりまわし/つきさし ともに[F]…遠い。

詭弁 初手[F]、2T[B]…ライフが1.5点取れるが、相手が嫌がって後退することで簡単に計画が狂う。あくせらーから鬼謀で打つ方が効用が大きい。

使徒 ともに[C]…リソが奪われる上に何も起こらない。また、黄緑故にびくごの再構成に巻き込ませない方が強い。

大地砕き ともに[F]…無理。

首切り ともに[F]…打てるはずなし。

とるねーど ともに[B]…何も起こらない。だがそれでいい。

りげいなー 初手[B]、2T[C]…仮に後手でも初手に打つ分にはまだ耐えている。どうせ先手でも回るようにデッキを組んでいるはずなため。2T目に打つとリソが減る。虚無。

Steam Cannon 初手[F]、2T[B]…当てられればダストを産むかライフ3点が飛ぶため偉いが詭弁同様読まれやすいため計画が狂いやすい。あくせらーから打つのが無難。

呼び声 ともに[A]…相手を萎縮させる分とるねーどよりかは強い。

空駆け 初手[S]、2T[A]…初手に打ってダストを作れる。偉い。

大嵐 ともに[S]…リソ損の一切ない黄緑は当然強い。あくせらーの青機巧にだけ注意。

遺灰呪 初手[B]、2T[A]2宿し再構成からの遺灰呪は強い。リソ損も最低限で抑えられ、相手のリソもある程度奪え、ダストも作れる。びくごの起動に合わせるかは宗教。

義旗共振 初手[F]、2T[S]…擬似的なマリガンを行える赤黄マナであるため当然強い。間合にも優れる。

絶対零度 ともに[A]…相手のオーラに変な石を置いていけ。1巡目を遅延させるのはクルルにとって非常に重要。

鏡の悪魔 ともに[F]…打てない。

準備万端 初手[A]、2T[S]…初手遺灰呪にも抗える上、2T目に打つ場合ハンドを2枚抱えたまま再構成することができ、早めに引いておきたいカードを1枚持ち越すこすことが可能。

制圧前進 ともに[S]…相手のリソを奪い、自分はリソが増える。弱いはずがない。

以上が独断と偏見に満ちた各全力札の初手、2T適正です。2T目に打つ前提のデッキならとるねーどよりも効用の高いカードも多くありますが、初手に置くならとるねーどより強い動きをする札は実はそこまで多くありません。ここに機巧の兼ね合い、その札を入れたデッキが本当に強いのか、総合的に考えていくと最終的に初手にポン置きするだけならとるねーどでいいな、となることが多いのです。初手や2T再構成から黄マナを置くようなデッキは基本的にはびぐごデッキであるためたいていの場合とるねーどが入っていることも大きな要因ですね。

 

・まとめ

上記の2つの視点から初手、2T再構成から全力札を使用する意味と効用について考察してきました。マナやリソースの兼ね合い、1巡目、1.5巡目から全力札を2枚使用するに当たってどちらをあくせらーから使用した方が効用が大きいかなどを考えると最終的にとるねーどを先に置いておいた方が良いように解っていただけたかと思います。

勝利するためにはとるねーどのライフ1点ダメージはなくてはならないものですが、1巡目に限って言うなら緑マナ2枚出しながらびっぐごーれむのフレアを用意できるかと言われると難しく、最大効用を得られる見込みが薄いとるねーどはさっさと打ってマナにしてしまうのが合理的という訳です。

 

ここまでが私の考える科学者が初手にとるねーどを置く理由ですが、科学者の中にも様々な派閥があり、今回解説した以外にもその科学者なりの理由があるかと思います。

クルル初心者のミコトがサンプルデッキの回し方を覚える際、初手に全力札を置く動きがある場合はこれはどういう意図で置いているのかを考えていただけると上達も早くなり、ご自身でデッキを組む時に応用も利くかと思います。

ここまでお読みいただきありがとうございました。ご意見ご質問等は当方Twitter(@furufuru_max)までお願いします。